海のごちそうMeetUp
増え続ける海と食の課題に取り組む全国各地のキーパーソンが一堂に会するイベント「海のごちそうMeet Up」を2023年1月26日に開催しました。

地球温暖化による海水温の上昇や海洋ごみの増加など、海を取り巻く環境は課題が山積しています。

今回のイベントには主に食をテーマに海の課題を解決しようと活動している人々が集まり、リアルな交流を図りながら共に問題解決に向けた新たな糸口を探りました。
※このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で実施されました。

海のごちそうMeet Up
開催概要

日時

2023年1月26日(木)18:00~21:00

会場

有楽町 micro FOOD & IDEA MARKET
(東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)

有楽町 micro FOOD & IDEA MARKET
(東京都千代田区有楽町1-10-1
有楽町ビル1F)

プログラム

  • 海のごちそうプロジェクト活動概要
  • 海のごちそうトークライブ
  • 懇親会

食を通して、海を「自分ごと」に感じてもらうための活動内容を紹介

開会にあたり、主催者である一般社団法人 海と食文化フォーラムの事務局長で「海のごちそうプロジェクト」プロデューサーの國分晋吾が、同プロジェクトの過去2年間の取り組みについて紹介しました。
海洋ごみの増加や水産資源の枯渇など、海でさまざまな問題が起きているにもかかわらず、特に若い世代で「海が好き」「親しみや愛着を感じる」と答える人が減っていることを説明。「海に興味のない人が増えていけばいくほど、問題を解決しようという人が少なくなっていく」と指摘し、多くの人が関心を持つ「食」を切り口に海に興味や関心を持つ人を増やすことの意義を強調しました。
そのうえで、「さらに網羅的な取り組みを進めるために、多様な活動をしている人々との連携が不可欠」と語り、「異業種・異分野で活動する人たちが横断的に交流できる今回のMeet Upを通して、一緒にできる取り組みを参加者相互に探していきましょう」と呼びかけました。

ゲストスピーカーが、それぞれ直面している海の課題を語る

海の環境、海にまつわる食文化、海洋資源をキーワードに、4人のゲストスピーカーがそれぞれ感じている海の課題やこれからの取り組みについて語るクロストークを行いました。

(ゲストスピーカー)

  • Yahoo! JAPAN SDGs 
    編集長 長谷川琢也 氏
  • 株式会社ウオー 
    代表取締役 中川めぐみ 氏
  • 東京大学大学院農学生命科学研究科 
    助教 小南友里 氏
  • 合同会社フラットアワー 
    代表社員 銭本慧 氏

(ゲストスピーカー)

  • Yahoo! JAPAN SDGs 編集長 長谷川琢也 氏
  • 株式会社ウオー 代表取締役 中川めぐみ 氏
  • 東京大学大学院農学生命科学研究科 助教 小南友里 氏
  • 合同会社フラットアワー 代表社員 銭本慧 氏

Yahoo!JAPAN SDGs 編集長
長谷川琢也

海と人をつなぐのは大切なことです。そして、それをつなぐのもやっぱり人だと思っています。僕は東京海洋大学の大学院生でもありますが、そのゼミにいる若い人たちは素晴らしいアイデアを持っているし、情熱も持っています。でも今の枠組みだと、海と人をつなぐ人になるまでの道は用意されていません。海に興味のある若い人が自由に海と関われるような環境づくりをしなければならないと思っています。

株式会社ウオー代表取締役
中川 めぐみ

漁師さんと異分野を面白くつなげたいと思っています。以前、AIを開発するベンチャー企業の経営陣に漁村で合宿をしてもらいました。そのときに捕れた魚を東京に持ち帰って、同社の60人以上のエンジニアに食べてもらい、漁業者の課題を前に進める方法を考えてもらいました。やわらかい雰囲気の場だと思いがけないアイデアが出るんですよね。そして、自分ひとりでは思いつきにくいので、多くの人を巻き込めるような形を作りたいです。

東京大学大学院農学生命科学研究科 助教
小南友里

漁獲された水産物のうち、魚価が低かったり味が悪かったりするため水揚げすらされずに海上で投棄されるものが、年9万トンあると言われています。そこで世界的に注目されているのが「すり身」です。すり身はどんな魚でも加工できて地域の食文化に馴染むことから、加工食品としてはとても優秀です。混ぜる魚種の比率、保存方法、調理の温度など、科学的なアプローチで味が悪いとされる魚でも美味しいすり身にできるんです。私は味を切り口に、限られた水産資源をまんべんなく利用することを促したいと思います。

合同会社フラットアワー 代表社員
銭本慧

これまで漁業者になってから7年の間、消費者に魚を直送してきた中で美味しい魚を「つくる」ことに重点を置いてきました。例えば最近までは、水揚げしたら魚を急いで冷やす方が良いと考えていました。でも、それだと冷やしすぎていることが分かったんです。魚を冷やす温度を微調整してより良く仕上げています。私たちは美味しい魚をつくり、消費者に直送することで、たくさんのフィードバックをもらい、さらに美味しい魚につなげています。これからもこのサイクルを続けていきたいですね。

懇親会

 懇親会では、「海のごちそうMeet Up」の参加者や登壇者が手がける海の食材を使った料理と、「海のごちそうプロジェクト」から生まれた料理を海のごちそうメニューとして提供。海と食に関わるさまざまな分野で活躍されている参加者が垣根を越えて情報交換を行いました。

海のごちそうメニュー紹介

海のごちそう
メニュー紹介

はばのりとエビのバターパスタ(左手前)

海藻の全国的な激減を踏まえ、海藻の陸上養殖・海面養殖に取り組むシーベジタブル社(高知県安芸市)の「そのまま干したはばのり」を使用。

函館ブリたれカツ(奥)

海水温上昇の影響で漁獲が急増したものの、食文化がないために魚価・消費ともに低迷していた函館近海産のブリを地域の食文化として定着させるため、日本財団「海のごちそうプロジェクト」の一環として考案された新メニュー。

ブリのカルパッチョ(右手前)

持続可能な漁業を目指し、漁獲から血抜き・神経締め・冷やし込みにこだわった魚を全国に直販するフラットアワー社(長崎県対馬市)のブリを使用。フラットアワー社はクロストークに登壇した銭本慧氏が代表社員。

参加者コメント

株式会社スティルウォーター 
海のレシピプロジェクト担当
青木佑子

◯普段はどのような取り組みをしていますか
「海のレシピプロジェクト」というWEBメディアを運営しています。海の生き物、海に由来する食べ物、海の楽しみなど、さまざまな切り口で海の物語を感じてもらうメディアです。

◯「海と食」に、どのように関わっていますか
海のレシピプロジェクトの取材で全国に行くのですが、沿岸域に海藻がなくなる「磯焼け」は多くの地域で耳にする課題です。それを受けて大分県佐伯市の水産会社と連携し、磯焼けの原因のひとつになっている魚「アイゴ」を使った「アイゴの一夜干し」を製品化しました。これからも「おいしい」を軸に課題解決していきたいです。

◯「海のごちそうMeet Up」に参加して
参加者が本当に幅広い分野の人たちばかりなので、大きな刺激になりました。それぞれの立場で考えていることを話し合うことで、新たなアイデアや連携がたくさん生まれると思います。提供された料理もストーリーのあるものばかりで、そこからも刺激を受けました。この場で得た刺激をさらに大きな成果につなげていきたいですね。

株式会社クリーク・アンド・リバー
プロデューサー・セクションマネージャー
加藤寛之

◯普段はどのような取り組みをしていますか
地方を盛り上げる活動をプロデュースをしています。さまざまな分野のプロフェッショナルとともに地域をより良くする活動に携わっています。

◯「海と食」というテーマを身近に感じますか
三陸沿岸に重点を置いて活動していますが、海には、単に魚を捕るだけでなく、加工する、パッケージを作る、流通させるなど、そこにまつわる多くの産業があります。海はそれらすべての基盤となっています。ですから、「地域をつくる」という意味でも海はとても大切なものだと感じています。

◯「海のごちそうMeet Up」に参加して
これまでは自分と同じような立場で活動している人と接点を持てずにいました。今回Meet Upに参加してみて、同じ課題でも違うアプローチで取り組んでいる事例が多いことを知り、参考になる部分がたくさんありました。良い事例ばかりだったので、一緒に活動している仲間や課題解決に取り組む漁業者にも広く共有することが大切だと感じています。

NPO法人ディスカバーブルー
代表理事
水井涼太

◯普段はどのような活動をしていますか
海洋教育や社会教育、自治体などと連携した海のルールづくりに取り組んでいます。今は明確なルールがないまま、さまざまな立場の人が海を利用しており、そこで問題が発生しています。それを整理し、受け入れる体制を作りたいと考えています。

◯「海と食」というテーマはいかがでしたか
一般市民の皆さんの海との関わりを考えるなら、「海と食」はとてもいいと思います。この分かりやすいテーマを入口に、一般市民の皆さんに海の価値をしっかり感じてもらうことで、沿岸の漁業や環境についての理解も進みます。ひいては、その先にある海洋工学や防災、海上保安など、さらに広い海のジャンルにも興味を持っていただけるのではないかなと思います。

◯「海のごちそうMeet Up」に参加して
さまざまなジャンルの専門家と直接コミュニケーションを取れるという今回の取り組みは、非常に良いものだと思います。海と食を入口に、どうやってその先の議論に参加してもらうかが重要であり、今後もそれを考え続けられるつながりを見つけたいですね。

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