海の食文化体系
魚を「守る」と言う前に、
私たちはどれだけ魚のことを
知っているのだろう?
-海と食文化を巡る、15の現場の声
現場の声
INTRODUCTION
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魚は、“そのまま”では食べられない。 私たちは魚を食べてきたと思っているが、実はそう単純な話ではない。 簡単に鮮魚が手に入らない時代が長く、干物や発酵といった加工が前提だった。 そこに欠かせなかったのが塩だ。魚と塩の関係をたどる。
2章魚はどのような食べ物になっているのか
日本人は「海」そのものを食べてきた。魚と塩の関係
青山 志穂
Aoyama Shiho
一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会代表理事
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郷土料理は特別な料理ではない。 むしろ、日常の食卓に当然のようにあがってきたものだ。 しかし、この“当然”は土地により大きく異なる。 なぜ、同じ魚でも、これほど食べ方が違うのか。 渡辺あきこさんの体験を手がかりに、郷土料理と海の足跡を追憶する。
3章魚の価値はどこで立ち上がるのか
暮らしのなかで受け継がれてきた郷土料理の現在地
渡辺 あきこ
Watanabe Akiko
料理研究家 和食を基本とした家庭料理のレシピをメディアで発信
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和食において、魚と出汁は疑われることのない前提として扱われる。 だが、その前提は、なぜ生まれたのか。 料理人・近藤一樹は、和食を「技術」としてではなく、「環境の中で生まれた必然」としてとらえる。魚はいる。 だが、漁に出なければ獲れない。その矛盾のなかで、日本人は食べる方法を編み出す。すべての始まりは環境に適応するための知恵だった。
3章魚の価値はどこで立ち上がるのか
旬という時間が和食を支え、魚の価値を築いてきた
近藤 一樹
Kondo Kazuki
和食の伝道師 2014年「なにわの名工」受賞 元辻調理師専門学校専任教授
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焼津で鮮魚店を営む前田さんは、「魚を締めたあとの、最初の冷やし方が重要」と言う。 その基準で仕立てられた魚は、同じものであっても届け先によって扱いが分かれ、価値も変わっていく。魚の価値は海の中で決まるのではない。 流通の現場で、人と人との関係を通じて立ち上がっていく。 その過程にこそ、“美味しさ”の正体がある。
3章魚の価値はどこで立ち上がるのか
魚の価値は「関係」で決まる。流通が組み替える“美味しさ”の仕組み
前田 尚毅
Maeda Naoki
サスエ前田魚店代表取締役 『辻静雄食文化専門技術賞』受賞
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海の魚とは別の魚食が日本にはある。川や湖で獲れる淡水魚だ。 しかし、都市化や流通の変化のなかで食卓から姿を消し、料理人の手からも離れていった。 一方で、環境と食が切り離せない琵琶湖では、暮らしのあり方がそのまま魚の味に現れる。消えたのは魚ではなく、かかわり方なのか? もうひとつの魚食、淡水魚の現在地が琵琶湖に現れている。
3章魚の価値はどこで立ち上がるのか
琵琶湖が映す「食べる」という営みの変化と継続
川西 豪志
Kawanishi Takeshi
寿し・日本料理『ひさご寿し』店主 日本庖丁道清和四條流・師範
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海苔は不漁が続き、二枚貝はほとんど姿を消した。 江戸前の海で起きている変化は、もはや一時的なものではない。 東京・日本橋蛎殻町で大正 2 年から続く遠忠食品も、その影響を受け続けている。 それでも、つくだ煮は消えない。むしろ形を変えながら残っている。 資源が枯渇する時代に、食はどう成立するのか。 加工の現場から、その仕組みを追う。
3章魚の価値はどこで立ち上がるのか
つくだ煮が残り続ける理由と、江戸前が失った供給の関係と加工の構造
宮島 一晃
Miyajima Kazuaki
遠忠食品株式会社 代表取締役 『メイドイン東京の会』会長
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魚離れが進んでいると指摘される一方で、現場では別の変化が起きている。 魚が選ばれなくなったのではなく、食べ方や味わい方を含めた経験そのものが失われているのだ。 新宿の和食店『和味 りん』では、その断絶に向き合いながら、ランチという日常の場で魚を出し続けてきた。 22 年という時間をかけて見えてきたのは、料理がその場で終わらず、次の世代の選択までに影響していくという事実だ。
4章魚を食べる関係はどうつなぎ直せるのか
魚を“食べる力”は、次世代へ継承できるのか
芳賀 博康
Haga Hiroyasu
『和味 りん』店主
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魚は、いつから選ばれにくい食材になったのか。 鮮魚店からスーパーマーケットへと販売の場が変わっても、魚売り場は長く店の中心を担ってきた。 しかし、効率化や価格競争、売り場設計の変化のなかで、その位置づけは徐々に変わっていく。売り場で何が起きていたのか。 そこから何を見直せるのか。
4章魚を食べる関係はどうつなぎ直せるのか
魚が売場から遠ざかった、スーパーマーケットの選択の構造
小谷 一彦
Kotani Kazuhiko
魚食普及推進アドバイザー お魚かたりべ
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かつて家庭の台所にあった寒天は、いまやその姿をほとんど見かけなくなった。 しかし、需要が消えたわけではない。 食品から医療、化粧品まで、形を変えながら使われ続けている。 国内メーカーが減少するなか伊那食品工業株式会社は 約 50 年に渡り増収増益を続けてきた。 その背景にあるのは、変わり続けることを前提とした開発と経営だ。 海藻という限られた資源を扱う軌跡は、魚食の未来を考える手がかりにもなる。
4章魚を食べる関係はどうつなぎ直せるのか
変わり続けることでしか、食文化は残らない
伊那食品工業株式会社
Ina Food Industry
寒天の製造・販売をする 寒天のリーディングカンパニー